暑さが徐々に弱まり、すこしずつ風が涼しくなる9月。
8月からバードウオッチングの快適さも増し、さらに鳥も移動の季節を迎えます。
双眼鏡や望遠鏡をもって、ぜひ鳥を探しに行きましょう。
今回はそんな9月のバードウオッチングの楽しみ方を紹介していきます。
猛禽類の渡りシーズン
9月は中旬から猛禽類の移動シーズンが始まります。
日本で繁殖したノスリ・ハチクマや、大陸で繁殖したアカハラダカなどの猛禽類が南の越冬地に向かって時を同じくして移動するのです。
最も有名な観察場所は、岐阜県の金華山、長野県の白樺峠、長崎県の烏帽子岳、愛知県の伊良湖岬でしょう。
北日本から南下する個体が金華山、白樺峠、烏帽子岳を、首都圏周辺から移動する個体が伊良湖岬周辺を通るのです。
数千羽が1日で飛行する日の光景は何にも変えられない魅力があります。
またアカハラダカは対馬を大量に通過します。1日に数万ともいう個体が、そしてシーズンを通して10万羽を越える個体が見られるとか。一度は見てみたい光景です。
シギ・チドリ類も渡りシーズン
シギやチドリも渡りのメインシーズンです。
季節が進むにつれて幼鳥の割合が増えます。繁殖を終えた成鳥がまず繁殖地を出発し、すこし遅れて幼鳥が渡りを開始するためです。
シギ・チドリの換羽を観察し、年齢を識別したり(エイジング と言います)、亜種を推定したりする高度な楽しみをはじめてみるにはいい時期でしょう。
エリマキシギやキリアイといった比較的珍しいシギから、シベリアオオハシシギやヘラシギといったとても珍しい種にも出会える可能性も秘めています。
ぜひ望遠鏡や望遠レンズを装着した一眼レフカメラをもって干潟や水を張った水田を訪れてみましょう。
原っぱで秋を感じる!
見晴らしのよい原っぱでは、モズの声がひびき始める時期でもあります。
「高鳴き」と呼ばれる越冬縄張りを主張する声は、日本の秋の風物詩でもあります。
また、夏には高原で繁殖していたノビタキやホオアカといった鳥たちが渡りをしている様子も見られるかもしれません。
本州でも運が良ければ、北海道で繁殖を終えたノゴマを観察できるでしょう。
鳴き声を出さないだけで、実はノゴマが本州の草地をつたいながら移動していくのです。
台風後の離島へ
9月は台風シーズンです。台風一家には南風のせいで気温が上がり、ムシムシした空気に気持ちが重くなることもあるでしょう。
一方で、台風は南に生息する鳥を運んでくることがあります。
文字通り、マレーシアやタイ、台湾といった国々に生息する激レアな種が、風によって吹き飛ばされてくるのです。
そういった鳥たちは、大海原のうえで陸地を探します。
そうした鳥たちは本土にも飛ばされてくると考えられますが、個体数が少ないため、見つけるのは容易ではありません。
だからこそ、大海原のうえにポツンと浮かぶ”離島”が良いバードウオッチング場所になります。
長崎県の五島列島、先島諸島の与那国島や石垣島などを訪れて、離島で珍鳥探しをしてみませんか?
ちなみに、離島の珍鳥探しメインシーズン(小鳥の移動シーズン)は10月初週から第二週くらいかもしれませんが、台風を最も期待できるのは9月です。
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