多様な選択肢がある双眼鏡選びは、多様な選択肢があるがゆえに楽しく、また迷うものです。
それなりの値段なため「買い直し」のハードルは高く、失敗しない一品を選びたいものですよね。
この記事では、野鳥観察を20年以上続けている研究者が自信をもってオススメする双眼鏡を
❶入門者部門(–3万円台) ❷中級者(5万円+α)❸プロフェッショナル部門(10万円以上)に分けて紹介します。
個人的には❶入門者部門の双眼鏡を1−10年ほど使い、もっといい物が欲しいとなったら❸プロフェッショナル部門の双眼鏡を買うのがいいと思います。
5000円以下のものは、どれもそれほど変わりません!
この記事では1万円以上する双眼鏡を特集します。
双眼鏡えらび入門!
ちゃんとした双眼鏡を買うべき人とは?
その答えは、あなたの鳥へのハマり具合次第です。
もう5回以上鳥を見に行っていて、野鳥に可愛さなどを感じ、また行きたいなと思っているあなたには、数万の双眼鏡は「買い」な品物と言えます!
その一方、知人と一緒に1−2回鳥を見に行ったことがあって、双眼鏡をオススメされているあなたは、もう少し様子を見た方がいいでしょう。
数回しか使わなそうであれば、数万円を払うのはもったいないです。
ホームセンターで3000円くらいの物を買うので十分だと思います。
双眼鏡に3万は高い?3000円で十分??
ホームセンターで売っている3000-8000円程度の双眼鏡と、2–3万円の双眼鏡の違いは、双眼鏡を介して見える景色の鮮明さ、そして視野の広さです。
例えるならば、アナログテレビと地デジ対応テレビ、iphone4sとiphone12、ps2とps4、使い捨てカメラと一眼レフの違いです(下表)。
ちなみにプロフェッショナル用の双眼鏡を例えるならば、8Kテレビ、iphone13pro max、ps5、フルサイズ一眼レフカメラといったところです。
双眼鏡の価格 | テレビなら? | iphoneなら? | ゲーム機なら? | カメラなら? |
---|---|---|---|---|
3000–8000円 | アナログ対応 | 4S | PS2 | 使い捨てカメラ |
入門者用(–3万円) | 地デジ対応 | 12 | PS4 | 一眼レフ |
プロ(10万円以上) | 4K対応 | 13 pro max | PS5 | フルサイズ一眼レフ |
倍率の選択肢:10倍 or 8倍
双眼鏡は倍率を選べますが、20倍、30倍などはいりません!むしろ手ぶれの影響で見づらくなります。
おすすめ、というか選択肢は10倍または8倍の2択というのが個人的な考えです。
今後、望遠鏡や望遠レンズを買おうと考えている方は8倍、双眼鏡だけでじっくり観察を継続しようと考えている方は10倍がオススメです。
それから、最近いくつかのメーカーから出されている光学ズーム機能付き双眼鏡などは、絶対的におすすめできません。
倍率とかの表記を覚えましょう!!
品名が「Nikon PROSTAFF (8×32)」だったりしますが、
この「8×32」って何??
この(8×32)という表記は、倍率が8倍で、レンズの直径が32mm ということです。
つまり、倍率が10倍で、レンズが50mmなら (10×50) となります。
レンズの直径が大きくなるほど明るくなりますが、双眼鏡自体は重くなり、値段も上がります。
例えば、Kowa SVIIシリーズでは、レンズの直径の選択肢は4択です:25mm(260g・13,000円)、32mm(565g・32,000円)、42mm(665g・34,000円)、50mm(745g・45,000円)。
トリハカセは20代かつ身長170cm台の男ですが、600gを超えてくると長時間使うと疲れてきます。
というわけで、望遠鏡やカメラと併用する方はレンズ直径を軽い30mm台がオススメで、双眼鏡単体で使う方は40mm台も検討してよい(30mm台でも十分と思います)という感じかと思います。
以下で紹介する商品は、倍率は8倍で紹介し、
シリーズ内でレンズ直径の選択肢が複数ある場合は、30mm台のものをオススメしています。
入門者部門
入門者部門3位:Kowa SVII32 8×32
日本が誇る双眼鏡の2大巨頭?であるコーワの入門機です。
この双眼鏡さえ買ってしまえば、買い替えはしばらく必要ないでしょう。
(好みはあると思いますが)解像度や重さなどは第1位にランクインした双眼鏡には若干及ばない印象ですが、価格が5000円程度安いという魅力があります。
ただ個人的な感想ですが、Kowaは上位機と入門機のクオリティの差が、ニコンと比較して顕著かもしれません。惜しくも1、2位ランクインはならず。
入門者部門2位:Nikon PROSTAFF P7 8×30
3万は出せん!という方への絶対的なオススメは、Nikon Prostaffです。
Amazonなどでは1万円台という低価格ながら、色の鮮明さや明るさは満足できるものであり、超高コスパと言えます。
3000–7000円台の双眼鏡との違いは驚くほど大きいです。この1台を購入することで、野鳥観察の楽しさや魅力は大幅にアップすること間違いなしです!
そしてなにより軽い!首にかけているのを忘れてしまいます(笑)
入門者部門1位:Nikon MONARCH M7 8×30
今後もそれなりにバードウォッチングを続けそうという人には、正直MONARCH (モナーク) 一択といってもいいかもしれません。
3万円台(ほぼ4万ですが)の価格ですか、以下に述べる中級機にも劣らない性能を持つコスパ最強の双眼鏡です。
第2位のPROSTAFFとの違いは、レンズにED(特殊低分散)ガラスが採用されており、色にじみが少ない点です。
このEDガラスですが、遠くの鳥をみたり、鳥をじっくり見るときに結構差が感じられます。
耐久性も問題なしです。モナークを購入し、10年後に10万台の双眼鏡を購入するというのが満足度的にも最高かも?!
EDガラスが採用されていないと、遠くの鳥の姿の縁が
赤っぽく見えたりします。
MONARCH M5との違いは、視野の広さです。
中級者部門
入門機の次の双眼鏡に10万円台(プロフェッショナル部門)は出せないという方にオススメの2台です。
国内メーカーの2機であり、入門機と比較した違いは、なにより色にじみの少なさ、そして解像度でしょう。
中級者部門2位:NIKON MONARCH HG 8×30
モナークM7の上位互換機です。
色にじみの少ないシャープな見え味が売りという公式のコメントは非常に正しく、M7と比較しても綺麗に見えます。
が、価格は8万円台で高額です、プロフェッショナル機を買った方がいいかもしれません。
中級者部門1位:Kowa BDⅡ32-8 XD
5万台でオススメできる双眼鏡2機のうち、1機は入門者部門3位:Kowa SVII32 8×32の上位互換機であるBDII32-8XDです。名前がややこしい…。
店頭で見てみた感想としては、確実にSVII32 8×32よりも色にじみが少ないです。
が、こちらも5万円を出せるなら、プロフェッショナル機を買った方がいいかも…?
プロフェッショナル部門
10万円近い価格になるものの、入門機で十分に慣れた後に使用すると、その違いに驚くことでしょう。
ガラスを介していると思えないほどクリアな見え味、色にじみの少なさ、濁っていない色…。
鳥たちの姿をこれでもかというほど楽しむことができるのです!!
いつか使ってみてぇ〜というものもありますよね。
とはいえ高いものを新品で買うと、中古車買えちゃいます。
プロ部門4位:NL Pure 8×32
いきなりの憧れのメーカー「スワロフスキー」です。
とにかくクリアで明るく、1台あれば一生不満なく使えるでしょう。
明るさ・クリアさを追求したより大型の「8×42」が人気かもしれませんが、42mmは正直重いです。
ということで、ここでは8×32をチョイスしました。とは言え、それでも価格が高すぎる!!ということで、4位です。
プロ部門3位:ZEISS Victory SF 8×32
スワロフスキー同様に高級ですが、これ以上ないクリアな見え味と、美しい色彩を堪能できます。
店内でなく野外で使用するとその性能をさらに実感することができます。
重さも600gと軽く、肩こりの心配もないでしょう。
野外で使用した感動は(個人的には)スワロ以上でした。トリハカセの欲しい双眼鏡ランクNO1です。
が、ブログ記事として40万円のものを1位にするのも趣旨に反しますので、価格のマイナス点も加味し、総合ランクは3位としました。
プロ部門2位:Nikon EDG 8×42
第2位はニコンのフラッグシップ機、 EDGシリーズです。
この機器では、対物レンズを32mmではなく、42mmで購入することをオススメします。
42mm(つまり、8×42)の見え味は、超高級機のスワロやツァイスとの違いをほとんど感じません。
モナークシリーズなどと比較すると値段は高いですが、買って後悔することはないでしょう。
プロ部門1位:Kowa GENESIS 33 (8×33)
第1位はKowaのフラッグシップ機、GENESIS 33です。
数多くの海外機や、NIKONの上位機を抑えて第3位にランクインした理由は、❶ 小さいのに超高い解像度 ❷ 10万円台 の2点です。
上記のスワロフスキーNL pureシリーズと比較した解像度や明るさなどの性能面はやや及びませんが、スワロは40万円台と高額です。
また個人的には、ニコンのEDJと比較してGENESISは「色」の違いがはっきりと目に映ると感じます。
10万円台でこのクオリティを提供するKowaには脱帽です。
防振双眼鏡って必要?
航路などで海鳥をみたい人以外はいらないかも!
さて最後に、防振の双眼鏡を検討する方もいらっしゃるかもしれません。
航路など、手ぶれに加えて、地面が動く場合などはその機能がフルに発揮されます(というか、航路探鳥では必須かも?しれません)。
しかし、野外で普段使用するには重いため、特殊な状況下でなければ以上でオススメした(防振機能なし)機器の方がよいでしょう!
みなさんもぜひ、新たな双眼鏡で、素晴らしいバードウォッチングを楽しんでくださいね!
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