この地球に鳥は何羽いるのでしょうか?
そんな鳥好きが1度は考えたことがあるかもしれない疑問に対する答えを、
オーストラリアのニューサウスウェールズ大学のキャラハン博士(Corey T. Callaghan)らが2021年に論文として発表しました。
そしてキャラハン博士らの研究グループは、世界で個体数が多い鳥ランキングまで発表したのでした!
今回はそんな最新の研究について紹介していきましょう。
インターネットのデータを駆使して個体数を調べる
世界中の鳥の個体数を推定するために研究者1人で調査をし、個体数を数えるのではあまりにも長い時間がかかってしまいます。
キャラハン博士たちは、このあまりに研究が難しそうに思える課題にある画期的な手法から挑戦しました。
それは、世界中の研究者、ではなくアマチュアバードウオッチャーが集めたデータを使用することです。
インターネットが普及した現代、多くのバードウオッチャーがインターネットに野鳥観察の記録を残しています。
その代表的なツールは、「ebirds」です。このツールを使えば、どの場所で、どんな鳥を見たかを記録できるだけでなく、皆と共有できるのです。
博士たちは、このebirdsといったオンラインデータと、専門家が収集したデータの両方を使って、すべての鳥の個体数を推定したのでした。
その結果、この世界中にいる鳥の個体数は、500億から4280億羽だということがわかりました。
この数は、世界のヒト1人あたり6羽の鳥が存在しているということです。
世界の鳥:鳥の数ランキング
スズメは1番じゃない!
1位:イエスズメ (16億羽)
2位:ホシムクドリ (13億羽)
3位:クロワカモメ (12億羽)
4位:ツバメ (11億羽)
5位:シロカモメ (9億4000万羽)
6位:キタメジロハエトリ (8億9000万羽)
7位:ミツユビカモメ (8億1000万羽)
8位:ハマヒバリ (7億7000万羽)
9位:セグロアジサシ (7億1000万羽)
10位:サバンナシトド (5億9000万羽)
こうやってみると、クロワカモメやハマヒバリなど、日本にいると多いとは感じられない鳥達が、
世界的にはとても多い鳥達なようです。
日本は島国であり、みられる鳥やその数は大陸のそれとは大きく異なることが知られています。
海外にバードウオッチングに行った際には、この研究結果の内容を実感できるのかもしれません。
個体数が少ない鳥たち
キャラハン博士たちの研究は、深刻な課題を浮き彫りにしました。
それは、世界の鳥類の12%の鳥(1180種)は、その個体数が5000羽以下だと推定されたことです。
この結果は、非常に多くの鳥達が絶滅の危機に瀕している、または絶滅に近づきつつあることを示しているでしょう。
結果は妥当なのか?
この研究では、鳥は空を飛ぶことから正確に個体数を把握することが難しいこと、
世界のすべての場所でオンラインデータが充実しているわけではないことなどから、
高い精度で個体数の予測ができたわけではないと述べられています。
そうした課題を踏まえたうえで、ナショジオのインタビューに対して、米コーネル大学鳥類学研究所の保護科学者ケン・ローゼンバーグ氏は答えたようです。
「この研究はまるで、この数字が気に入らなければ、もっとマシな数字を出してみろと言っているようなもの」だと。
参考文献
Callaghan et al. (2021) Global abundance estimates for 9,700 bird species. PNAS 118: e2023170118.
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