都市部はコンクリートジャングルと呼ばれたりします。ビルや道路で構成される都市は、人間のための場所とも言えるでしょう。
都市に住んでいる、または都市を訪れる私たち人間は、都市に行くと全く生物を見ない… わけではなく、
様々な動物や植物を都市で目にするはずです。それらの生き物は自然だけでなく都市にも生息にも生息できる「都市生物」と呼ばれたりします。
では、それらの都市生物にとって、都市は本当に住みやすい環境と言えるのでしょうか?
都市に生息するシジュウカラ
日本や世界の森林から都市まで、様々な環境に生息している鳥類の1種として、シジュウカラが挙げられます。
シジュウカラは、1年を通して都市の公園などに生息し、例えば巣箱などで子育てを行います。
本当に都市で餌は足りているのでしょうか?雛鳥が巣立っていることを考えると足りていそうですが…。
2022年、ハンガリーにあるパンノニア大学のセレスらの研究グループは実験でその疑問を確かめることにしました。果たしてコンクリートジャングルには鳥の餌は十分にあるのでしょうか?
餌と子育て
セレスたちは、森と都市で繁殖中のシジュウカラに、餌台で餌をあげることにしました。量は1日に必要な昆虫の5割ほどです。
しかし、すべてのシジュウカラに餌をあげる訳ではありません。少し離れた位置では餌を与えないグループも設けました。
なぜこのような処理をしたかというと、もし餌が足りていなければ、餌をあげることによって巣立ち雛数が増加すると考えたのです。
すると実際に、都市部では、餌をあげたグループの巣では、餌をあげなかったグループよりも多くの雛を育てあげたのです!
つまり、都市部では、シジュウカラは十分に餌を得られていなかったことが示されたのです。
一方、森林では、餌をあげようがあげまいが、雛は同じくらいの数が巣立ちました。森林では自然な状態で餌が十分にある訳です。
さらに、都市で餌をもらったグループは、森林のグループと同じくらいの雛を育て上げました。給餌されてようやく、自然な状態と言えるような繁殖成功度となるのです。
都市という環境と鳥
都市=極限環境!
セレスたちの研究は、都市という環境が鳥たちにとって生きづらい環境であることを明らかにしました。
息苦しさを感じる… とかそういうレベルではないのです。餌が足りないのですから。
ちなみに昔の都市はコンクリートに必ずしも覆われておらず、現在よりも鳥たちにとっては住みやすかったかもしれません。
実際に近年の都市化は、日本などでスズメの個体数を大きく減少させたことも示されてきました。
近未来のかっこいい都市には、もしかすると鳥たちの姿はないのかもしれません。
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