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【タマシギの生態図鑑】雌雄の姿と役割が逆転?!驚きの一妻多夫生活に迫る

2023 9/14
野鳥図鑑
「た」 日本 農耕地の鳥
2023-09-14

野鳥の魅力の1つは、その姿の美しさでしょう。青、黄色など華美な姿をした野鳥は多いものです。

そうした派手で美しい姿をしているのは一般的にオスであり、メスはベージュなどの地味な色をしている種が多いでしょう。

しかしそんな「オスが派手で、メスは地味」という一般的な傾向には当てはまらない野鳥の1種が、タマシギです。

トリハカセ

この記事では博士号をもつトリハカセが、
不思議な生態をもつタマシギの魅力を紹介します。
記事は結構長いので、興味のある項目を目次から選んでくださいね。

目次

タマシギ入門編

タマシギ | Greater Painted Snipe | Rostratula benghalensis | チドリ目タマシギ科タマシギ属

レア度:★★★★☆☆☆☆☆☆(4/10:場所・季節が適切でも、個体数があまり多くない)

見られる季節:通年

見られる場所:本州中部以南に多く、関東地方以北で稀

見られる環境:主に水田

餌:昆虫や小型の無脊椎動物

とずんぐりむっくりした体型のシギ類であり、国内で繁殖しますが、現在の個体数はそれほど多くはありません。

水田で野鳥を探していると、ひょっこりと水辺に顔を出す本種は、メスは目の周りに白色のまが玉模様をもつことから、他種と識別で迷う事は少ないかもしれません。

一方でオスは一見すると地味ですが、こちらもメス同様にくすんだ白色の勾玉模様という特徴から他の種と区別に迷うことはないでしょう。

トリハカセ

オスとメスの姿が、入れ替わってる?!
どこかの流行った映画で聞いたような話ですね。

タマシギの生態

点在する分布域

eBird database より 紫色のところで観察の記録がある

日本の原風景に欠かせない鳥っぽい風貌のタマシギですが、その分布域は広く、なんとアフリカの南端にまで分布しています。

日本では主に関東以南で繁殖しますが、東北地方でも近年繁殖期の記録が得られたりしています。

日本の近くに目を移せば、中国東部や東南アジア、そしてインド周辺でよく記録されることがわかります。

トリハカセ

タマシギは簡単に言えば、水田大好きマンです。

特に違和感のない餌

草丈の低い水田であれば、姿は容易に見つかります。

タマシギの餌は、主に小型の節足動物です。小型の昆虫類や、水田にすむ貝類、甲殻類、ミミズなどを食べます。

またイネ科など、水田に生えている草本の種子も食べます。

ちなみに見てみたいものですが、カブトムシも食べるとの記載が清棲(1978)にあります。

トリハカセ

淡水のシギチらしい餌組成と言えるかもしれません。
逆に、淡水域の生態系が劣化すれば大打撃を受けると言えます。

一妻多夫制

鳥の90%以上は人間らしい夫婦の形と同じように「一夫一妻」で繁殖します。つまり、オスとメス1羽ずつのカップルが、子を育てる訳です。

その一方で、タマシギのように、複数のオスと、1羽のメスが家族となり子を育てるパターン、つまり「一妻多夫」の繁殖形態をとる種は全体の1%以下しかいません。

そんなユニークな繁殖生態を持つタマシギは、一般的なほかの野鳥とオス・メスの役割や姿が逆転している種なのです。

トリハカセ

生物の進化というのは、本当にすごいですね。

派手なメスと、地味なオス

オス。模様は綺麗ですが、メスより地味です。

ほとんどの鳥では、オスがさえずりをし、縄張りを防衛し、繁殖相手であるメスと”つがい”を作ります。

卵ができた後は、オス・メスともに繁殖に貢献しますが、基本的にメスが放卵などを行います。

一方で、タマシギは全く逆です。メスがさえずりをし、繁殖相手であるオスとつがうのです。

タマシギのような繁殖方法をとる鳥類の進化的な理由は、現在まで多くの議論がなされており、現在も研究が進んでいます。

トリハカセ

ほかには、アカエリヒレアシシギなどが
一歳多夫の繁殖様式をとります。

ヒレアシシギを対象とした研究では、超簡単に説明すると、ツンドラ地域にある巣が頻繁に水浸しになり、卵に致死率が低いため、

メスは卵を産みまくる戦略に、オスがそれを育てるような戦略をとるようになったという説があります。この例では、特殊な環境が、一歳多夫という特殊な繁殖様式を進化させたと言えるでしょう。

求愛はメスの役割

メスはオレンジ色でかなり派手です。

「コォー」とか「グォー」と聞こえる声で、メスはオスにアピールします。求愛はメスからオスへ行われるのです!

距離がある場合には「コホン」と聞こえたりします。遠くから聞こえる犬の声をイメージしてください。

繁殖期は6ー8月頃であり、この期間は夜間や明け方頃に水田を訪れれば、この鳴き声を聞くチャンスがあるでしょう。

抱卵と子育てはオスだけが…?

抱卵するオスの様子

19–20日の抱卵期間(小田谷 2020)を経て、雛は孵化します。

この抱卵は、すべてオスが行います(Komeda 1983)。雛は孵化後すぐに歩くことができますが、この雛を守り、育てるのはオスの役割なのです。

一妻多夫の不思議

山階鳥類研究所の元研究員の米田博士の200時間を超える観察によれば、

メスは産卵後(一腹卵を産み終えると)、巣を守るオスのもとには帰ってこなくなるとか。

その後メスは何をしているのかというと、大きな声を出し、他の旦那候補のオスを探すのだそうです。

ただオスも繁殖シーズンのうちに他のメスと更に子供を残すそうで、米田博士は「一妻多夫とは言えないのではないか」とのコメントを残しています。

研究者の心をも躍らせる、科学的にも超絶ユニークな生態の持ち主なのです。

トリハカセ

一歳多夫の鳥類の進化的な背景などは、
進化生態学の教科書にも出てくる主要な研究トピックの1つです。

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個体数の減少、分布の変化

世界と日本での個体数

IUCNはタマシギを絶滅の恐れが低い「低危険種(LC)」と分類しており、現在全世界に繁殖可能な年齢のタマシギの個体数は31,000-1,000,000個体だと見積もっています。

一方で、日本国内に目を向ければ、環境省レッドリストでは「絶滅危惧種II類」にヤマシギは指定されています。

全世界での傾向と、日本での傾向が異なる理由としては、水田の管理システムの近代化したことや、休耕田の減少などが挙げられています(Amano et al. 2010)。

また、もしかするとの妄想ですが、日本がタマシギの分布域の端に位置することも関係するかもしれません。

鳴き声

「コォー」「グォー」「ゴホー」とか、「コホン」とか聞こえる声を出します。

結構遠くまで聞こえるので、小さい音の場合には発見は難しいかもしません。近ければラッキーですが!

見つけたらそっと遠くから観察しましょう

タマシギは採食中など、草丈の低い開けた水辺に出てくることがあります。

そして結構警戒していないようなのんびりした動きをするので、近寄っても、また車の窓から観察している場合には車から降りて観察してもいいかな、なんて思ってしまいます。

警戒すると、頭と尾羽をひょっこりと上下に動かします。こうなった時は黄色信号ではありません、赤信号と言えます。

ぜひ、心穏やかな生活を送らせてあげられるように、そっと観察してあげましょう。

参考文献
・清棲 (1978) 日本鳥類大図鑑. 講談社, 東京.
・中村・中村 (1995) 原色日本野鳥生態図鑑 水鳥編. 保育社, 東京.
・真木・大西 (2000) 日本の野鳥590. 平凡社, 東京.
・大橋 (2003) 鳥の名前. 東京書籍. 東京.
・米田 (2015) タマシギの繁殖整体「一妻多夫?」. 山階鳥研ニュース. (https://www.yamashina.or.jp/hp/yomimono/tamashigi.html)
・小田谷(2020)タマシギ. Bird Research News, 17: 3.
・The Cornell Lab of Ornithology (2023) Birds of the world.
・IUCN (2023) The IUCN red list of threatened species.
・Gill (2007) Ornithology third edition, W. H. Freeman, New York.
・Komeda (1983) Nest attendance of parent birds in the Painted Snipe (Rostratula bengalensis). Auk 100: 48-55.
・Amano (2010) Silent night in Japanese rice fields? A population decline in the Greater Painted Snipe. Ornithological Science, 9: 49-53.

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生粋の鳥好きで20年以上鳥をみています。
博士号(理学)を持っています。
専門的な知識とバードウオッチングの経験を生かし
バードウオッチングの面白さ、生態の奥深さをブログを通して伝えます。
20代後半です。
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