酷暑日は、とても屋外に出て自然を楽しむ余裕なんてありません。
しかし、どうしても鳥を探しに行きたくなってしまうもの。今回はそんな酷暑でも比較的快適に野外を楽しめる「高山域でのバードウォッチング」を特集します!
おすすめの山岳を紹介し、
高山の危険や安全に鳥を探すためのツールも紹介します。
興味のある項目を目次から飛んでくださいね。
おすすめの山岳はどこ?
高山帯は、本州では標高2,500m以上くらいの場所にある「高木が育つことのできない場所」で、ライチョウをはじめとする独特な鳥を観察できる場所です。
1年を通して涼しく、8月でも早朝の気温は5℃ほどの日もあります。
気軽にいける高山帯は、3箇所だけと言えます。それは、富山県の立山連峰、長野県の乗鞍岳と木曽駒ヶ岳です。
ライチョウも高山鳥も楽しみたい人は乗鞍岳、ライチョウを特に楽に見たいなら立山室堂、登山もがっつり楽しみたい人は木曽駒ヶ岳がオススメです。
山岳でバードウォッチングをしまくってきたトリハカセ的
おすすめ順を述べます。※ あくまで、鳥好き視点です。
1位:乗鞍岳
1番おすすめの山岳は、乗鞍岳です。
理由は ❶ 鳥の種数と個体数の多さ、❷ アクセスの良さ、❸ 日本の高山鳥をほぼ全部見られることです。
長野県、岐阜県側両方からアクセスすることができます。
自家用車でもアクセスできますが、長野県側からは三本滝パーキング(標高1,500m)、岐阜県側からはほおのき平パーキング(標高1,230m)でシャトルバスバスに乗り換える必要があります。
高山帯と亜高山帯の野鳥の密度の高さがなんといってもの特徴です。高山帯ではライチョウ、イワヒバリ、カヤクグリ、ホシガラスといった野鳥が多く見られます。
シャトルバスの執着地点「畳平」からはほぼ水平に移動でき、望遠鏡を担いでのバードウォッチングも可能です。
また少し下った亜高山帯では、ルリビタキ、メボソムシクイ、クロジ、ビンズイ、ホシガラス、ヒガラ、コガラ、キクイタダキなどを間近で楽しむことができるでしょう。
また、長野県側の乗鞍高原(標高1,500mほど)では、観光センター(大きなパーキングもあります)周辺が平坦な森林となっており、徒歩30分の場所には一ノ瀬園地という高原があったりと、幅広い野鳥を楽しめます。
また、シャトルバスは乗鞍高原から乗鞍山頂畳平まで往復で3500円ほどとリーズナブルな点もグッドです。
ライチョウの個体群が安定的に存在している場所でもあります。
乗鞍高原に一泊すれば、
翌日に上高地にもすぐアクセスできます(車で20分ほど)!
宿泊地:乗鞍高原(宿がたくさん)・松本市街がメインか。少数だが高山帯の山小屋もOK。
普段山登りしない人が行ける時期:7月ー9月
危険メモ:5月にはシャトルバスは亜高山帯までしかいきません。また6月上旬くらいまでは雪も多いため、最低でも軽アイゼンが必要だったりしますので(当然登山の知識も)、7月以降くらいがいいでしょう。車道沿いであれば6月でも問題なく歩けますので、ライチョウ探しにはいいかも。
2位:立山室堂
2番おすすめの山岳は、立山室堂です。おそらく日本で最も一般の観光客が訪れる山でしょう。
その理由は、「立山黒部アルペンルート」があるためです。往復料金は12,000円ほどと少し高めですが、普段乗らない乗り物を乗り継いで高山帯にいくワクワク感は他では味わえません。
野鳥に目を移しましょう。立山は先述の乗鞍岳と並んで、ライチョウの個体群が安定している日本でも稀有な場所です。
イワヒバリの個体数は乗鞍岳と同等、カヤクグリ、ホシガラスは結構少なめです。
さらに亜高山帯でのバードウォッチングは難しいので、山の鳥を網羅的に見たい!という方には不向きかも。
一方で、立山黒部アルペンルートの終着点からほんの10分ほど歩けばライチョウに出会えるという手軽さは最大の魅力でしょう。。
乗鞍高原に一泊すれば、
翌日に上高地にもすぐアクセスできます(車で20分ほど)!
宿泊地:信濃大町の駅前または温泉街。室堂にも宿がありますが、ホテルは高額、ほかは山小屋です。
普段山登りしない人が行ける時期:7月ー9月
危険メモ:乗鞍岳や木曽駒ヶ岳と比べて遅くまで雪が残ります。室堂駅周辺を歩くのであれば6月頃でもいいでしょうが、雄山にも登りたい!という人は8月がおすすめ。とはいえ、ライチョウが見たいのなら、雄山を諦めて室堂駅周辺を散策するのが良いです。
立山は、観光地としても発達していて魅力的です。
3位:木曽駒ヶ岳
こ、ここを望遠鏡やカメラをもって登る…?!
今回の3つの山岳では、鳥の魅力度的には3位の木曽駒ヶ岳。ただし、登山も楽しむのであれば1位としてもいいかもしれません。
ロープウェイの終着駅の前に広がる「千畳敷」は確かに美しいですが、鳥を探す場所としては少しコンパクト。
千畳敷から山頂方面や、極楽平と呼ばれる平野につながる道は、普段登山をしない人にとっては結構な急坂です。体力に自信がない方、望遠鏡や大きなカメラを持ち歩きたい人にはおすすめできません。
ネガキャンばかりじゃないか!と言われそうですが、野鳥から目を離せば、登山の人気ランキングに名を連ねる理由である美しい景色という魅力があります。
また、2020年に乗鞍岳から導入されたライチョウも順調に個体数を増やしており、ライチョウに出会える可能性が高いのも魅力です。
亜高山帯でのバードウォッチングは立山同様にほとんどできませんので、注意が必要です。
宿泊地:駒ヶ根駅周辺がリーズナブルだが、山のふもとの温泉街や、千畳敷ホテルなども案外高くありません。
普段山登りしない人が行ける時期:8月ー9月
危険メモ:千畳敷カールは落石などがあります。残雪期(6月いっぱい)は12本歯アイゼンやピッケルなど持たないと危険です。8月や9月などは、登山客で賑わいます。
遭難や低体温症の危険と向き合う
高山の登山といえば、やっぱり怖いのは「遭難」そして「低体温症」です。
低地では暑い8月ですら(酷暑日でさえ)早朝には7度ほど、雨雲の通過時には13度ほどにまで下がります。雨に濡れてしまえば、真夏でも低体温症の危険があるのです。
また、晴れていたから少し歩いて遠くにいったところ、1時間後には霧に包まれホワイトアウト、そして道迷いなんてことも。霧は思っているより濡れますので、低体温症にもつながります。
とれる対策とは?
ここでは、バードウォッチャー向けの対策を述べます。
それは、❶ 早朝に観察を開始し、14時には帰りのバスなどに乗ること 、❷ 車道や太い登山道沿いから外れずに歩くこと、❸ 分岐の景観や道標をしっかり覚え、不安なら写真をとること、❹ 梅雨明けの7月か8月に行くこと です。
❶の理由は、夏には15時くらいになると天気がもれなく崩れるからです。空気が温まると(鍋が沸騰するようなイメージで)空気が上空に運ばれ、雨になります。14時くらいにはくだりのバスなどに乗り、早めの温泉とビールを楽しみましょう。
❷と❸の理由は単純で、道迷いのリスクを最小化するためです。太い道沿いでも十分すぎるほどに鳥は見られます。
❹の理由も単純ですが、非常に重要です。梅雨時期の降雨と低温は、しっかりした装備をもっていなければ行動不能になる可能性が非常に高いです。
不安ならば、一番安全なのは、乗鞍岳に行き、車道沿いで観察することです!これは間違いない!
スマホのGPSも活用しよう
上記の注意点のほか、デバイスも活用すると多少は安全性は上がります。デバイスに頼りすぎるのは危険ですが。
山の上は電波が入りませんが、GPSは使用できます。オフラインでも登山地図や地形図と現在地を表示できる「ヤマレコ」のアプリなどを入れておくと良いでしょう。
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